令和6年度 都市整備常任委員会 視察報告【二日目】

10月22日(火)北九州市「人工衛星画像とAIによる漏水解析」

現在、水道事業を取り巻く環境は、人口減少に伴う有収水量の減少・管路の老朽化など大変厳しい状況にあり、この問題は本市においても同様である。

北九州市は市域が起伏に富んだ地形であるため、平均水圧が高く配水管への負担が高く、給水人口当たりの配水管延長も他都市平均に比し長くなっている。こうした特性が漏水条件の低減にあたり不利な状況になっている。(令和5年度6.3%)このような背景は本市にも通じると思われる。

そこで同市は効率的な漏水調査を行い、漏水量の低減を図る必要から令和4年度からその取り組みを始めた。
令和4年度はイスラエルのベンチャー企業「アステラ」の技術で、人工衛星画像から水道水固有の特徴をAI解析で区別し、200メートルの範囲で漏水の可能性がある区域を特定する技術を採用→衛星漏水調査

 令和5年度はJAXA認定のベンチャー「(株)天地人」の技術で人工衛星による観測データや同市が保有するデータ等をAIにより解析し、100メートルメッシュで漏水リスクを評価管理する技術を採用→漏水リスク調査

上記の実証実験を行い、令和6年度は、再度、アステラで衛星とAIの漏水調査を行い、発見制度が向上するかを検証していくとのこと。

北九州市においては有収率の向上に向けてこれらの取り組みを進めながら、国が進める上下水道のDX化の動向を注視していくと説明を受けた。

本市では、現況、管路の基礎情報をもとに設定した優先順位に基づき、1年に1回から4年に1回の周期で漏水調査を実施している。その調査は委託業者が管路上を歩いて漏水音の調査を行う手法が基本で、重要な本管等については装置を用いて調査を実施している。

今後、こうした最新技術を利用した漏水調査の採用が求められることと思うが、これらの技術は「漏水の可能性がある範囲」を絞り込むものであり、最終的な漏水個所の特定には、従来同様の人による作業が必要である。しかし、将来の職員減に対応する有力なツールであることも確かといえる。したがって、今後の精度向上やコストダウンにより導入メリットが大きい状況となれば、積極的に導入を検討すべきと考える。