平成27年度 よこすか観光立市議員連盟 視察報告

10月10日から11日の2日間にわたり、第75回全国都市問題会議が大分市で開催された。
今回のテーマは「都市の健康」人・まち・社会の健康づくりである。

本市では、平成27年4月1日、「横須賀市観光立市推進条例」が施行された。この条例は、これからの本市における産業のもう一つの柱として観光を位置づけようとするものである。
豊かな自然と、江戸時代末期からの歴史遺産など、本市観光としての資源や魅力を発信していくことが、新たな本市のイメージとして広く市外の方々に知らしめ、来訪者の増へと繋がるものと考える。
また、本市に現存する旧海軍施設を中心とした建造物等が「日本遺産」に登録され、旧軍港4市間で連携してストーリー性を持たせた観光の展開が予定されることになった。
そうした動向に伴い、横須賀市議会では、観光資源の開発やブランド化の保護、都市間の連携を図ることで、本市観光事業の促進のために「よこすか観光立市議員連盟」を発足することになった。 今回は、横須賀製鉄所との所縁が深い群馬県富岡市の「富岡製糸場」、そして、横須賀製鉄所の生みの親である「小栗上野介」終焉の地である高崎市倉渕町で小栗の菩提寺「東善寺」を議連第1回目の視察研修とすることとした。

【一日目】7月21日(木)富岡市「富岡製糸場」

2度目の視察となる「富岡製糸場」であるが、今回訪れた同所では、昨年の大雪で損害を受けた建物の大規模修繕を行っていた。その意味では、世界遺産の指定を受けたことで、施設の維持管理を担う富岡市の負担など、様々な面での苦労と負担があると感じた。
「富岡製糸場」には現在も創業当初の主要な建築物が、ほぼ当時のままの状態で保存されている。また、工場以外にも社員が居住していた社宅群が残っていて、往事の社員の生活が偲ばれ、大変興味深い。視察時は住宅の外構などの検証が行われていて、将来、再現の予定とのことである。更に施設が充実されることを期待したい。

また、来場者のために、音声ガイド機の貸し出しやスマホを使って見学場所の情報を聞くことが出来るサービスを行っていて、今後の本市における旧軍施設のガイドによる案内にも適すると思う。 世界遺産の指定を受けた当初の来場者数は、約130万人だったがここに来て大分落ち着いたようで、約80万人となっている。しかし、同所へ向かう沿道には、門前町ならぬ観光客向けの店が並び、賑わいを見せている。このように、集客施設と隣接する地域経済が、相関関係を構築する姿が本市に置き換えた場合でも重要と感じた。

【二日目】7月22日(金)倉渕町 「東善寺」

こちらについても2回目の訪問である。「東善寺」の住職である村上泰賢氏のお話を伺う。
同氏は、小栗上野介の功績に対する造詣が深いだけで無く、同時に郷土愛の強い方である。これまで氏が収集した様々な関係品やこれまで研究してきたことは、逆賊として近代日本の歴史から消されてきた「小栗上野介」に対する深い愛情とも受け止めることが出来る。
これまで「小栗」が正当な評価を受けること無く、歴史の表舞台に登場することも無かったことが、近年になり、少しずつ変化してきていることが、氏の言葉からも感じることが出来る。
少なくも「小栗」が、時代を先取りした「日本が進むべき道」を自ら実現したものが「横須賀製鉄所」であり、それ以外の多くのものが近代日本の礎となったことを改めて評価したいと思う。

そして、そのことを先ず、本市市民が知るべきであろう。前回訪れた際、そう感じたことから、本市の学生のための副読本が必要であると主張した。その結果、「横須賀製鉄所創設150周年」に向けて作成することが出来たことを思い出した。
今後更に、「小栗上野介の功績」が世間で評価されることになれば、誤った歴史観が見直されることになるだろう。そのためには、横須賀製鉄所が、「日本の産業革命の地」であることを我々市民が、理解しておくべきであり、その歴史を市民にもっと知ってもらう努力をしていかなければならない。