平成29年度 都市整備常任委員会 他都市調査【一日目】

【一日目】10月23日(月) 大阪府吹田市
「吹田サッカースタジアムの運営とスタジアムを利用した
地域活性化の取り組みについて」

 2015年9月に完成した吹田サッカースタジアムは、募金団体が寄付等で資金を集めて建設し、プロサッカーのチームであるガンバ大阪を経営する㈱ガンバ大阪が指定管理者として運営をしており、「公的運営の新しい形」として注目を集めている。

 その独自性として、任意団体(募金団体)である「スタジアム建設資金団体」が建設し、その竣工と同時に同団体が吹田市に寄付、㈱ガンバ大阪が指定管理者として運営管理を行うという公民連携の手法で整備したことがあげられる。さらに、建設費だけでなく、ランニングコストの市の負担や市から指定管理者への委託料もない。指定管理者は利用料金等から運営・管理費をねん出することになる。
 スタジアムの用地は大阪府が所有する土地を吹田市が事業用定期借地設定契約で借用し、上記の手法でスタジアムが建設された。本来であれば、転貸ということになるのではと確認したところ、このための条例を制定し、法的に問題はないとのことだった。

 本市では、過去において「ソレイユの丘」を建設に当たり、公園建設としては我が国初という「PFI」を採用した。当時の市長の肝いりとされたが、その手法については賛否が大きく分かれるところであった。それは、年間4億円を10年間運営会社に支払い、最終年度に残金を支払うという契約があまりにも運営会社に有利な契約であり、本市に所有権が移った時には使い古された状態でしかないというものだったことである。つまり「PFI」方式は、市民が利用する公園施設の建設にはなじまないといえる。
 そのケースから考えると、吹田サッカースタジアムの方式は、自治体が税金を使わずに民間活力を最大限に生かす方式といえる。しかし、吹田の方式が完全なる方式かというと、そう思えないところを感じる。それは、指定管理者との長期契約などの契約状況である。
 まず、指定管理者との間で実に47年6か月という想像を超えた期間の設定の仕方である。当該土地が大阪府より事業用定期借地権設定契約で借用しているため、その期間が指定管理期間となったことにある。一般に指定管理期間は3年から5年間である。これでは、指定管理者の既得権になってしまうのではないだろうか。
 また、施設における土地貸借料その他維持管理に要する費用及び大規模修繕費は、指定管理者の負担とするとしているが、これは、随意契約以外の何物でもなく、地元企業の参入の機会が少ないものと想像する。これでは公共施設と果たしていえるだろうか。

 現在、本市ではDeNAベイスターズとの間で2軍施設として、総合練習場の建設に着手した。ここでは、市の負担は施設整備費を含めて約42億円、球団は寮の建設費約10億円のほか、市に年間1億8千万円の使用料を払うこととして、使用期間は最低20年としている。この収入で、建設費は賄えるうえ、施設の所有権も市が持つことになっている。吹田サッカースタジアムの場合、吹田市が寄付を受けて所有するといえ、ガンバ大阪の使用が中心の施設である。本市の場合は、一般市民の利用も可能としていることなどから、方式としては本市総合練習場のほうが良いと思った。