平成25年度 自由民主党会派視察【三日目】

【三日目】富山市 自転車市民共同利用システムについて

近年、個人や法人で所有することが常識だった乗り物を共同利用する例が増えており、その例としてカーシェアリングがある。自転車の共有はバイクシェアリング、コミュニティサイクルなど、様々な呼び方がある。 環境モデル都市、富山市では過度な自動車利用の見直しなど「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」を進め、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の大幅な削減を目指している。 その一環として始めたのが中心市街地で「自転車市民共同利用システム」アヴィレである。事前に登録していれば、24時間いつでも自由に自転車を利用できるというサービスで、コンパクトなまちづくりを実現するためのツールとして位置づけられている。富山市では、郊外の駅や停留所にパーク&ライド駐車場を整備し、都心の停留所から目的地までの足としてアヴィレを導入した。 市内の中心市街地に15か所のステーションがあり、システムの端末機器ターミナルで利用方法や料金、他のステーションの利用状況などサービスに関する様々な情報を確認することができる。また、携帯電話のサイトからステーションの場所や駐輪状況などが確認できる。 レンタサイクルとの違いは短距離、短時間の移動を賄うコンセプトであり、いつでも利用ができ、借りた場所と異なる場所への返却が可能である点である。 その運営は、屋外広告事業では世界第1位のジェーシードゥコーの日本法人で、同社は屋外広告の収入を原資として、自治体や市民の負担なしに、このバイクシェアリング事業を行っており、現在69の都市で展開しているとのこと。 富山市からは設営時以降の補助はしていないそうである。 設置に当たり、富山市から同社に対し1億5千万円の支援が行われた。うち、1億3500万円が環境省の「環境保全形地域づくり推進支援事業補助金」、1350万円が内閣府の「経済危機対策臨時交付金」を活用して残り150万円が富山市の負担である。 利用については、まず気になったのが冬季の利用である。北陸地方ということで、かなり積雪が予想されたのだが、富山市では歩道に電熱線を埋め込むなど工夫がされており、そのため冬季利用は若干少なくなるものの、それなりの稼動との事だった。
また、利用者の居住地を見ると、市の中心部が28%、中心部以外の市内が55%、市外が17%となっている。一方、1回の利用時間別の利用回数を見ると、5分前後の利用が最も多く、利用料金が無料となる30分以内で実に96%を占めている。まさに、まちなかでの「ちょい乗り」と言え、富山市の目指したコンセプトと一致しているといえよう。 気になる点は、まず屋外広告の収入でインフラを提供するという独創的な事業形態についてである。前述のように富山市は1億5000万円のうち、実際の富山市の負担は150万円であるが、将来の機器の更新などの費用負担は誰が負うのだろう。事業者であるシクロ社は、自転車やステーションの開発・製造、ステーションの設置、必要とされる許可の申請と取得、広告スペースの販売、清掃などのメンテナンス、登録交付やコールセンター、ホームページの運営など事業に関わる部分が担当となっている。 次に、昨今、社会問題となっている自転車による事故の多発とルール遵守についてである。自転車は道路交通法の下、その利用が認められているが、実際には、その認識が利用者に薄いことが明らかである。その点を訊ねたところ、富山の市民性から事故が少ないと答えられていたが、心もとない印象である。また、TSマーク保険の適用としているが最高限度額2000万円というのも少額ではないだろうか。最近の判例からもこの点は検討すべきところと考える。 バイクシェアリングはカーシェアリング同様、ヨーロッパが起源となっているが、日本でもいくつかの都市で導入されている。しかし多くは「実証実験」であり、期間限定の設置となっている。本市での「すかちゃり」の実証実験が思い出される。本市も含む多くの都市が実験に留まっているのは、主として法制面でステーションの設置に困難が付きまとうことと、収支に不安があるため慎重になってしまうためではないか。 将来的なコストに負担やルール遵守の点などの不安要素はあるものの、広告収入で8割と利用料で運営する富山市での「自転車市民共同利用システム」の取り組みはその先進性と運営の現実性の点で、大変興味深いものであった。