平成25年度 自由民主党 会派視察【二日目】

【二日目】7月24日(水)新潟県新発田市
「日本語教育推進事業」と「日本語教育特区」に関わる事業について

昨今、日本人の日本語の乱れやコミュニケーション能力の低下などが言われるようになって久しいと感じる。
新発田市では、日本語による豊かな自己表現能力を身に着けた人を育成することなどを目的とする教科「日本語」を導入した。
 
同市では、「新発田市まちづくり総合計画」を策定し、学校教育にかかわる基本目標として、伝統文化の継承と豊かな心を育む創造のまちづくりを掲げ、「心豊かな子どもの育成」と「教育環境の整備」を重点政策とした。
とりわけ、日本語の美しさや詩歌に表現される言葉のリズム等を実感できる感性を育てたいと考え、平成20年内閣府より「日本語教育特区」の認定を受け、平成21年度から教科「日本語」の学習を市内小中学校全てにおいて実施している。
そのころ、市内の小中学校では、いじめや不登校などの実態も見られ、その理由として言語環境の乱れやコミュニケーション能力の不足があることが指摘された。このことが地域と連携した正しい日本語の教育を課題とすることのきっかけとなった。
教科書作成の過程では、日本語教育検討委員会・同推進委員会を立ち上げ、教科書に載せる教材の教材性、選択、構成等について検討するなど、多くの苦労が伴った。
また、指導については詩、俳句、百人一首、論語、ことわざ、故事成語等の暗唱で読む力・覚える力をしりとり、手遊び、歌あそび、数え歌、カルタ遊び、百人一首、落語など言葉で遊ぶ力やリズムなどを醸成することを授業で展開している。これらは、各教員の工夫が重要となっている。
重要となる児童生徒の反応は、「日本語」の授業を楽しく学習しているとの意見が多く、日本文化に対する興味関心が高まってきているとの事。また、習ったことわざ等、日常会話や自主学習に波及している。
一方、保護者の反応は児童生徒の学びに対し、驚きや賛同の声が上がっているようである。
新発田市における「日本語教育」の話を聞き、その取り組みは先進的だが、その内容は本質的なものと感じた。例えば、落語における授業は、話し方や相手の心のつかみ方、話の間、日本人の情など大人でも学ぶべきことが多いと思う。こうした取り組みが広がることで、日本国や地域の歴史的な背景を知り、ひいては郷土への関心や誇りにつながるのではないだろうか。