平成28年度 視察報告【二日目】

【二日目】4月13日(水) 仙台市経済局 産業振興課 産学連携室
「産学連携の取り組みについて」

仙台市は、東北最大の政令市であると同時に、商都として、卸売業、小売り・サービス業をはじめとする第3次産業の割合や、支店比率が高く、景気動向の影響を受けやすい依存型の産業構造がその特性である。これまで、製造業の割合が低く、そのうち工業分野の事業所割合が低く、11大都市中で最も低いとされている。
一方、市内には13大学が立地するほか、東北大学付属研究所をはじめとした理工系大学・学部や公的研究機関が集積している。この点では11大都市中で第2位である。いわば、「知の宝庫」である。
そこで、仙台市では産業振興のポイントとして、大学等の知的資源を活用した産学連携による地域製造業の振興を図ることとした。

①ものづくり企業の高付加価値化、高度化
②研究開発施設の誘致
③研究者・技術者との交流人口拡大

以上の取り組みに重点を置くこととした。
そこで、平成26年、新たな成長モデルとして、「仙台経済成長デザイン」を策定し、その中で、平成29年をめどに4つの数値目標と9つの戦略プロジェクトを明確にした。
平成27年には、「仙台市中小企業活性化条例」を施行し、
・経営の高度化、販路の拡大、技術の向上および資金調達の円滑化
・中小企業者相互、企業者と中小企業振興団体、大企業、金融機関、大学、NPO等との連携と協力
・市が行う工事の発注、物品・役務の調達にあたり、中小企業者等の受注機会の増大
産学連携が生み出す価値観とは何か。それは、地域の中小企業が大企業や大学が持つ高度技術やアイデアを活用し、融合を図ることで新たな価値を生み出すことと考える。
また、大学の「知」を利用して、生産効率の向上など改革・成長を図ることも可能となる。
そうした中で、行政の果たすべき役割とは何だろうか。
それは、橋渡しの役割と言えるのではないか。
連携を支えるのは、まさに「橋渡し」的役割の重要性と考える。
行政の担当者は日頃の継続的な仕事の中で、地域企業の情報やその特性を把握しており、そうしたものをコーディネートする役割があるのではないだろうか。
また、連携にあたっての場を設けることも重要な役割と言える。
本市においては、YRPが、かつて移動体通信事業の開発というテーマで、世界各国の開発に関する企業が集積していたことを思い出す。
また、近年では「よこすかバレー構想」など、先進IT企業の創業支援にも傾注するなど、仙台市に近い取り組みが始まっている。
事務所への家賃補助や運営費の一部補助などの支援を通じて、企業進出の誘導策にも力を入れていくべきと考える。
こうした取り組みを継続的に推進していくことで、地域企業のポテンシャルの発掘や改革・成長が望めるのではないだろうか。