平成25年度 自由民主党 会派視察【一日目】

【一日目】7月23日(火)川崎市
浮島太陽光発電所について

平成23年3月11日の東日本大震災から2年余り経過し、この教訓からエネルギー供給の方法について、さまざまな研究・検討が行われている。
従来の化石エネルギーの枯渇を予想し、低廉なコストとされる原子力発電が推進されてきたなかで言われてきた「原子力の安全神話」が、この震災によって脆くも崩れてしまった。しかし、化石燃料の輸入に頼らざるを得ない我が国では、それに変わるエネルギーの確保が必要であり、原子力発電の是非とともにその安全性への担保が求められている。
同時に将来にわたり、再生可能エネルギーの導入の拡大を図ることが必要とするなかで、風力発電、太陽光発電、水素エネルギー、石炭液化・ガス化、燃料電池などの新エネルギーについて技術開発が行われている。
 
川崎市では、現在2箇所で大規模な太陽光発電所が稼動している。
・浮島太陽光発電所(平成23年8月運転開始)
敷地面積:約11ヘクタール 最大出力:7000kw.
・扇島太陽光発電所(平成23年12月運転開始)
敷地面積:約23ヘクタール 最大出力:13000kw.
の2施設であり、ともに川崎市と東京電力の共同事業として、川崎市の臨海部に建設した「メガソーラー発電所」である。
 
今回、「浮島太陽光発電所」および付帯施設である「かわさきエコ暮らし未来館」の視察を行った。
同施設がある浮島地区は、主に埋め立てによって形成された地域である。1957年から本格的な埋め立てが行われ、面積約4.84㎢、人口2人となっている。
また、一般廃棄物および産業廃棄物の最終処分場として埋め立てに寄与してきた経緯がある。
川崎市が所有するこのような土地は20年間に渡り土壌の浄化が必要とされ、その間は基本的に利用が制限さている。同施設の建設は、東電にとっても川崎市にとっても、ドンピシャの計画だったのではないだろうか。東電との土地の賃貸借契約では一応20年間となっていて、撤去またはその先について再検討するとの事である。
川崎市は東電に土地を20年間無償で提供し、固定資産税のみを徴収することとしている。また東電は発電所の建設および運転・保守を行うこととしている。土壌浄化の必要とともに、まさに廃棄物最終処分場の活用としては、うってつけの状況と考える。
あの震災後に運転開始されたことは、偶然とはいえ実にタイムリーだったと思う。再生可能エネルギーとして太陽光発電の効果とその規模を示す具体例になるからである。その意味において同施設はデモ的な色彩が濃いように感じた。それは、蓄電設備を持たない構造だからである。したがって昼間のみの発電の機能にほかならない。売電を目的とする施設となれば、夜間及び天候不順などに応じた電力の安定供給のため、蓄電設備を擁して無駄なく電力を供給できるシステムを構築するはずである。
本市において現在建設中のメガソーラー施設はその様に計画されていると聞いている。このことは扇島太陽光発電所においても同様との事だった。
あと、気がついたことは施設における雨水処理についてである。雨水は基本的に地面から透水させることになっているが、ここでは20年間の土壌浄化が求められるので、浸透した雨水は集約して浄化処理されている。そのため、排水処理施設が併設されていた。一般の太陽光発電施設の場合は、雨水として下水に放流することになるので、それに対応する排水を考慮しなければならない。
このような大規模な太陽光発電所が2施設もできたことは、今後の再生可能エネルギーの展開を図るなかで、大きな意味をもつものと考える。自然を利用した各種の発電が今後のエネルギー確保に向けて実践的に取り組むことは、各方面・各産業に対して好影響を与えるものと感じた。