平成30年度 自由民主党 県外視察【三日目】

【三日目】5月24日(木)農業生産法人 京丸園(静岡県浜松市)
「浜松市ユニバーサル農業の取り組みについて」

 今回の視察に当たり、視察の焦点としたのは「京丸園(株)」がユニバーサル農園として障害者を雇用し運営を行っていることだった。その意味では、あくまでも福祉的な観点によるものだった。

 現地を訪れ、施設の見学と説明を受けて、この事業は浜松市農業振興基本計画に基づいた事業であり、そこで働く障害を持つ人々が働きやすい環境を整備するものということが分かった。京丸園では、担い手の育成・確保という点で施設と作業に見合った環境づくりを見事に実践していた。一般には、農繁期の人手を確保するための採用となりがちだが、作業の分化や標準化を図ることで誰もが効率的に作業を行うことを目指している。例えば、機械化や作業台の高さなどである。その結果、工程・品質の管理向上が高まり、安心・安全な成果物が提供できることに繋げることができる。

 特に印象的だったのは、障害を持つ作業者にあった治工具を開発し圃場を整備していたことである。特にビニールハウスなどの厳しい環境の中での作業には効果的に思えた。また、特例子会社の存在も大きい。特例子会社は農作業の業務委託を受け、現場指導をする管理者とともに作業者(障害を持つ方)を派遣し、作業を行うなど京丸園と良好な関係にある。派遣会社である(株)ひなりは京丸園の求める業務の内容を理解して、現場指導をする管理者とともに派遣している。そして、京丸園の社長である鈴木氏は、作業の標準化を図るための冶具や機械を創作し効果を上げている。これも大きな特色のひとつであろう。

 特例子会社は2013年の企業の法定雇用率が2%に変更されて以来、設立数が増えている。このことを機に広く障害を持つ方々の雇用の幅が広くなることは、良いことと思う一方でその仕事の内容と継続性について、若干の懸念を持っている。本市においても、このような状況の中で特例子会社の設立も増えてきており、その中には障害を持つ方々を対象とする企業もあると聞いている。

 今後、行政としては障害者雇用の場がより広がるよう支援を行うとともに、雇用の場が一時的な労働力としてではなく、安定した雇用の場となるようしっかりと注視していく役割があると感じた。