平成30年度 自由民主党 会派視察【一日目】

【一日目】11月13日(火) 茨城県水戸市
「東町運動公園の整備について」

 水戸市では、老朽化が進む東町運動公園の有効活用について茨城県と協議を進める中で、同公園を市有施設として、来年予定されている「いきいき茨城ゆめ国体」に向けて、スポーツコンベンションの推進に資する新体育館を整備している。スポーツコンベンションとは、スポーツ大会の誘致等のほか、賑わいの創出や交流人口の増加につなげることを目的とする。その拠点となる施設の整備・充実は不可欠である。

 これまで我が団では、さいたま市のスポーツコンベンションや姫路市における観光コンベンションなどへ訪問し、調査と研究を行ってきた。本市においても、既存の公共施設である「不入斗アリーナ」「よこすか芸術劇場」等の積極的な誘致活動の展開を求めている立場からも、この水戸市の東町運動公園の整備は興味深いところである。

 これまでも水戸市では、各種スポーツ大会の開催のほか、プロスポーツチームの支援を通じたブランドイメージの向上のために、地元プロサッカーチームやバスケットボールチームと連携し、ホームタウン推進活動・地域貢献活動に取り組み、市のイメージアップに繋げている。

 水戸市は7年前の東日本震災の影響で、公共施設に少なからず被害を受けた。施設の老朽化とも相まって、現在4施設の建築工事が進んでいて、市庁舎もその一つである。

 東町運動公園の再整備事業については、土地の所有者である茨城県と協議を要した。その中で、県は、新たな体育館整備事業について、水戸市にできる限りの支援を行う。また。用地を水戸市に無償譲渡する。同公園までのアクセス道路の用地の確保するとして覚書を交わしている。

 そうした協議のもと、水戸市は体育館のコンセプトや規模・機能等の基本的な考えをまとめて「水戸市新体育館整備構想」を策定した。体育館整備のコンセプトは、広く市民がスポーツや健康づくりに親しむことができる施設であり、トップアスリートのプレーを間近で見て、感動や夢を与えることができることや、賑わいの創出につながる大規模イベントや様々な展示会などの多目的な利用ができる施設としている。

 その中で特徴的なことは、公募型プロポーザルにおける募集条件と審査の内容である。一般的に体育館のような大規模な空間を持つ建築物については、特殊性があることから難易度の高い工事とされ、国体の開催に合わせての工期の問題や、完成までの適切なコスト管理が重要である。そこで、多様な入札契約方式の中から「設計段階から施工者が関与する方式」(EGI方式)を導入した。EGI方式とは、設計段階において施工予定者を選定し、施工予定者が設計者に技術協力を行い、施工方法や仕様などを明確にし、施工に即した設計を行ったうえで、施工予定者と発注者が工事契約を締結する方式である。

 国は、2014年度から他の発注者のモデルとなる「多様な入札契約方式モデル事業」に対し支援を実施する取り組みが行っており、同事業が選定され、支援を受けることができた。

 このような経緯を経て、進められている同整備事業であるが、現在、公共工事が置かれている環境を考えると、深厚な人手不足や資材の高騰など、契約の不調が多く聞かれる厳しい状況にあることから、今回、水戸市で採用したEGI方式は興味深いところである。この方式が契約の不調対策と問題の解消につながることを期待したい。