平成30年度 自由民主党 会派視察【二・三日目】

【二・三日目】11月14日(水)・15日(木)栃木県・宇都宮市文化会館
「全国市議会議長会研究フォーラム」

 昨年に続いて、2度目の参加となった「全国市議会議長会フォーラム」。

 今回は「議会と住民の関係」が主テーマとする。

 2006年に北海道栗山町から始まった議会基本条例の制定から10年以上経過し、あらためて開かれた議会を通じて、市民との関係性を深めていくのかという内容である。

 現在、議会基本条例を制定している市町村は、全体の約6割を占めるそうである。しかし、制定したものの、それがしっかりと機能しているのか、また、施行後の総合評価や今後の課題をどう捉えるのかという課題があるのではないだろうか。

 本市においては、議会報告会を開催する中での問題点として、開催しても人が集まらない。同じ顔ぶれの参加者ばかりで、時には不満報告会といったような場面がみられるなどの傾向があった。そうした問題に対し、周知方法の検討や開催時間、開催場所の変更など、様々な試行錯誤を繰り返した。

 そうした中で、高校生を対象に開催した議会報告会から、多くのヒントを得ることができた。現在は、報告会と意見交換会の2部制として、特に意見交換会では、テーマを決めて、テーブル毎のワークショップ形式をとることで、実に前向きな意見交換会とすることができた。

 また、議会発の条例制定を目指す意味からも、こうした意見交換会は意味があるのではないだろうか。本市では、大津市の「政策検討会議」を参考に、政策立案を目標に、具体的な調査・研究を行う会議のシステムを構築した。議会の総意で必要な政策案を決定し、徹底的に討議する。その結果、政策提言や条例制定まで行うこととしている。この政策検討会議を恒常的に機能させるべく、現在、取り組んでいるところである。

 また、今回のフォーラムの中で印象的だったのは、中央大学法学部教授宮本太郎氏の基調講演であった。そのテーマは「地域共存社会」をどうつくるか 2040年を超える自治体のかたちである。

 人生100年時代といわれる昨今、人それぞれの人生の過ごし方も様々である。一般企業における定年制もひきあげられる傾向にあるなか、高齢化社会の進行とともに少子化も進行している。つまり、現役世代の減少が社会問題化しつつあるということである。それは、同時に社会保障制度の崩壊という危険性をも含んでいる。

そうした社会構造の変化は、福祉の在り方についても変化をもたらすだろう。これまでの福祉政策は、働くことができない人を保護することで、高齢・障害・困窮などに対して、縦割りの構造で対処してきた。しかし、これからの福祉は困難を抱えた人に対し、働く機会を提供していくことも重要になる。

それを実現するためには、地域住民や地域の多様な主体が参画して、地域を共に創っていく社会が必要である。仕事や地域での活動など、生涯活躍できる場や縁を作っていくことである。
 まさに、この社会構造を変えていくためには、議会と市民との関わりというものが、今後ますます重要となるだろう。

 しかし、市民の議会に対するイメージは、それほど改善されたとはいえず、相変わらず議員定数の削減と経費削減ばかりが叫ばれ、議会改革の目的とされている。議会の改革に対する意欲は、なかなか市民に届いていないのが現状である。

 議会基本条例の制定に満足することなく、不断の努力を重ねるとともに、媚びることなく、その基本理念に忠実に取り組んでいくことこそが重要であると考える。