令和元年度 都市整備常任委員会 他都市調査【一日目】

【一日目】01月22日(水) 千葉県木更津市
「park−PFI を活用した都市公園の利活用について」

 都市公園法が2017年に改訂された。その改訂により、これまで公園内でできなかった事業が、新たにできるようになった。それが、公募設置管理制度「park−PFI」である。

 park−PFIは、飲食店、売店等の公園利用者の利便の向上に資する公募対象施設の設置と、当該施設から生じる収益を活用してその周辺の園路、広場等の一般の公園利用者が利用できる特定公園施設の整備回収等を一体的に行う事業者を公募により選定する制度であり、都市公園に民間の優良な投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減しつつ、都市公園の質の向上、公園利用者の利便の向上を図る新たな整備・管理手法である。

 木更津市では、基本構想に位置付ける「みなとまち木更津再生プロジェクト」の具現化に向けたパークプロジェクトのうち、新たな賑わいの拠点として、1966年度に開園した鳥居崎海浜公園の整備を進めるため、park−PFIを活用し、民間の集客施設を誘致するとともに、老朽化した都市公園の再整備を一体的に行うこととした。
park−PFIには、三つの特例が認めら、下記の緩和措置が適用される。

①設置管理許可期間の特例により、最長20年間で設置することが可能
②建蔽率の特例により、公募対象施設の建蔽率を12%を参酌して条例で定めることが可能
③占有物件の特例により、自転車駐車場、看板および広告塔が占有物件として設置が可能

 以上の国のガイドラインを基本として、木更津市では公募設置等予定者の選定を行い、3事業者から提案がなされた結果、高い評価を得た事業者が決定された。

 木更津市の計画では、収益施設はレストランやカフェ等の飲食店を中心に共有テラスを含む建物を建築し、共有部分として、園路、広場、駐車場、植栽を整備しアメリカ西海岸をイメージした空間を目指している。これら施設の収益が公園整備や維持管理に充てられることとなる。

 昨年の11月に公募設置予定者が決定し、令和2年3月に官民の責任及び役割の分担を明確にするため、基本協定を締結する予定である。工事の完了予定は令和3年3月となっている。

 今回の視察を通じて、強く感じたことは、マーケットサウンディング調査の重要性である。木更津市では、平成29年から同調査を始めて、20数社に及ぶ対象事業者を3社まで絞り込んだ。この対象事業者とは、デベロッパーであり、木更津市がコンサルに相談しながら積極的に声をかけ、ヒアリングや意見交換を図ってきた結果とのことである。対象事業者がデベロッパーである理由は、木更津市が求める開発コンセプトを理解し、事業者の持つイメージやブランド力を集客に繋げて運営していくためには、事業体として、コンソーシアムを構成することが求められるからではないだろうか。

 本市においても、将来の都市公園の有効活用について、検討する時期が必ず来ると思われる。様々な公共事業に官民連携手法が導入される中で、本市の公園施設等に合致する整備事業としていくために、積極的かつ熱意をもってマーケットサウンディング調査を行うべきと考える。