令和元年度 都市整備常任委員会 他都市調査【二日目】

【二日目】01月23日(木)広島県尾道市「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」
「遊休不動産再生による景観維持と若年移住者による収益力向上について」

 同法人は、尾道市と連携して様々な魅力をもつ建物が集積する尾道の景観を守りつつ、移住、定住、起業する若者を呼び込むためこれまで100件を超す空き家・空き店舗を再生してきた。

 また、サイクルツーリズムを核とした民間投資による新たな観光拠点の形成や食の魅力の創出等によって、観光から移住に繋がる更なる人の流れの創出を目指している。

 人口の減少と高齢化、空き家の増加は、全国的な社会問題である。これは、本市においても同様であり、空き家条例などの施行や谷戸地域へのアーティスト誘致策のほか、宅建業者への空き家バンクへの協力など、様々な対策を講じている。

 尾道市においての特徴は、尾道の旧市街、2キロ四方の中心市街地に所在する様々な時代の特徴ある空き家の保存と再利用を通じて、若者の移住策へと繋ぐ冴であると考える。また、古民家を活用した2件のゲストハウスの運営は、観光交流や移住希望者と地域を結びつける役割を果たしている。これらの企画を進めるための組織として立ち上げられたものが、同法人である。

 当初はボランティアからスタートして、市と連携した空き家バンクの運営、空き家探しからセルフイノベーション、定住まで一貫した移住支援を実施。工具・機材の貸し出し、リノベーション手法を学ぶワークショップ等を実施するなど、現在は多岐にわたり、進化を続けている。

 このような取り組みが可能となった背景の理由はいくつも考えることができる。例えば尾道の歴史や地政学的な特色、また、知己の食材を最大限に生かした食の魅力であり、何よりも強いインパクトは尾道の生んだ映画監督である大林宜彦氏による尾道三部作の映画の効果が挙げられる。

 これらを総合的にブランド化したとき、普通であれば弱点とされる坂や階段、細い道も売りになるという、逆転の発想ではないだろうか。本市においても、弱点がむしろ横須賀らしさ、横須賀への地域愛が施策へと変わるチャンスに繋がる可能性を強く感じた、この視察であった。